【短】最強のあたしが3番目に強い男に恋をした
謎の女!?
「昨日は大変だったな……」
はぁ、と溜息を吐いて休日の街中を歩く。
宏大との口裏合わせは無事にできたけど、風吹に正体を怪しまれてる限り、欠片も油断できない。
しばらく喧嘩は厳禁だな。
「――、――!」
「――……」
さて、朝音ちゃんのCDを買いに行こうか、と思っていた時、聞き覚えのある声が耳に入った気がして、視線を向けた。
話の内容は聞き取れない距離。
でも、好きな男の姿は、見分けられる距離。
「……!」
向かいの歩道にいたのは、手を繋いだ男女だ。
1人は普段の無表情が嘘のように柔らかい顔をして、女に微笑みかけている。
もう1人は、キャスケットを被り、眼鏡をかけた地味な装いをしながら、弾けるような笑顔で男をカフェに連れ込んでいた。