【短】最強のあたしが3番目に強い男に恋をした
「……嘘、だろ……」
風吹のあんな顔、見たことがない。
彼女が、いたのか?
だって、あんなに……。
……いや、風吹はあたしが“最強の不良”か、聞き出したいだけだったな。
頭に鉄骨を落とされたようなショックを受けて、ふらふらと路地裏に入る。
どこに行きたいのかも分からないまま、とにかくあの場から離れるように歩いた。
「……あ? 優里?」
「秋、弘……」
路地裏の奥には、ボコボコになって倒れたやつらと、神龍の幹部で唯一同い年の秋弘がいた。
あたしは秋弘を見ると、足を止める。
「あたし……失恋したかもしんない……っ!」
「はぁ!? おいっ、泣くなよ面倒くせぇ!」
「好きなやつが女と手ぇ繋いで歩いてたんだぁっ! あんな風に笑ってる顔見たことないよぉっ!」