【短】最強のあたしが3番目に強い男に恋をした

自分でもなにを言ってるか分からない。

制服のポケットからスマホを取り出して、宏大に電話をかける。


ワンコールで出た宏大の声を聞く前に、あたしは助けを求めた。




「迎えに来て」


〈……了解、お姫様〉


「優里、待て……! 俺の話を……!」


「“最強の不良”に憧れてたんだっけな。浴びさせてやるよ、あたしの殺気。光栄に思え」




強がりを口にして、風吹を睨む。

本気の威嚇をすると、風吹はぐっと動きを止めた。

その隙に、屋上から逃げ出す。


階段を駆け下りて、1階に。

下駄箱の影に隠れるように、しゃがみ込んで迎えを待てば、しばらくしてバイクの大合唱が聞こえてきた。

校舎を飛び出したあたしを、宏大達は校門の前で迎えてくれる。




「お迎えに上がりました。……さ、帰るか?」


「……、……」
< 46 / 67 >

この作品をシェア

pagetop