【短】最強のあたしが3番目に強い男に恋をした
自分でもなにを言ってるか分からない。
制服のポケットからスマホを取り出して、宏大に電話をかける。
ワンコールで出た宏大の声を聞く前に、あたしは助けを求めた。
「迎えに来て」
〈……了解、お姫様〉
「優里、待て……! 俺の話を……!」
「“最強の不良”に憧れてたんだっけな。浴びさせてやるよ、あたしの殺気。光栄に思え」
強がりを口にして、風吹を睨む。
本気の威嚇をすると、風吹はぐっと動きを止めた。
その隙に、屋上から逃げ出す。
階段を駆け下りて、1階に。
下駄箱の影に隠れるように、しゃがみ込んで迎えを待てば、しばらくしてバイクの大合唱が聞こえてきた。
校舎を飛び出したあたしを、宏大達は校門の前で迎えてくれる。
「お迎えに上がりました。……さ、帰るか?」
「……、……」