【短】最強のあたしが3番目に強い男に恋をした
「大丈夫だよ、ユウちゃん。俺達がいるからね」


「ったく、お前を二度も泣かせるなんて、そいつのツラ拝んでやりてぇな」




黒地に金の刺繍が走った神龍(しんりゅう)の特攻服。

最強の暴走族が、朝っぱらから正装でずらりと集まるなんて、馬鹿馬鹿しい。


あたしは秋弘(あきひろ)に言われて初めて気付いた涙を拭い、宏大のバイクの後ろに乗った。




「荷物は?」


「置いてきた」


「そうか。おーい、誰か回収してこい」




そう言って、1人を使いに出す。




「優里!」




後ろから、風吹の大声が聞こえてきた。

でも、あたしは振り返ることなく「行って」と宏大達に告げる。

神龍のやつらは校舎に向けて中指を立てると、一斉に走り出した。


全く、やることが幼稚だな。

そう思いながら、あたしは宏大の背中に抱き着いて、金の龍に涙を吸わせた。



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