【短】最強のあたしが3番目に強い男に恋をした
あたしの答えを無視した宏大は、秋弘を呼び寄せてこそこそと耳打ちした。
「はぁ? なんで俺が」
「ツラ拝みたいって言ってただろ? それじゃ、よろしく~」
「チッ、まぁジメジメしてんのは1人でいいからな……」
そう言って、1人で出て行った秋弘の行き先も興味がない。
宏大は善と哲弥に囲まれたあたしを再び抱き上げると、「じゃ、デートの準備をしような」と、総長部屋に引き返した。
****
Side:定森風吹
「は……?」
学校の屋上に訪れた私服姿のそいつは、見たことのない顔だ。
「これはてめぇにやる最後のチャンスだ。じゃ、伝えたからな」
最後にそう告げて引き返す背中を、ぼうっと見つめる。
何回訪ねても、門前払いだったのに。
今さら……。