【短】最強のあたしが3番目に強い男に恋をした

あたしの答えを無視した宏大は、秋弘を呼び寄せてこそこそと耳打ちした。




「はぁ? なんで俺が」


「ツラ拝みたいって言ってただろ? それじゃ、よろしく~」


「チッ、まぁジメジメしてんのは1人でいいからな……」




そう言って、1人で出て行った秋弘の行き先も興味がない。

宏大は善と哲弥に囲まれたあたしを再び抱き上げると、「じゃ、デートの準備をしような」と、総長部屋に引き返した。




****
Side:定森(さだもり)風吹(ふぶき)




「は……?」




学校の屋上に訪れた私服姿のそいつは、見たことのない顔だ。




「これはてめぇにやる最後のチャンスだ。じゃ、伝えたからな」




最後にそう告げて引き返す背中を、ぼうっと見つめる。


何回訪ねても、門前払いだったのに。

今さら……。
< 52 / 67 >

この作品をシェア

pagetop