【短】最強のあたしが3番目に強い男に恋をした
「飲み物だったら入るか? なにがいいかねぇ」
「……なにも、いらないって」
「飲まず食わずじゃ流石に心配するだろ? ……大体な、そいつがなにを言おうとしてたのか、ちゃんと聞いたのか?」
「聞いたよ、あたしが“最強の不良”だって知ったんだ」
それが全てだ。終わりの合図だ。
足を止めれば、宏大はあたしに向き直って、垂れた横の髪を耳にかける。
「俺は大事なこと、なにも聞けてないと思うぞ。ユウは思い込みで耳を塞いでる」
「なにが分かるんだよっ、宏大に!」
キッと顔を上げた直後だった。
「――優里!」
「っ……!?」
その声は、あたしが心奪われた男のもので。
思わず振り返れば、こっちを真っ直ぐに見ている風吹がいた。