【短】最強のあたしが3番目に強い男に恋をした
「会ったことも、ないのに……」
「……会ったことは、ある。あの時はボコボコにされて、まともな姿じゃなかったが」
「え?」
「3年前……中学、2年の時。路地裏で高校生と喧嘩して、救急車を呼んでもらった」
中2の時、路地裏で、救急車。
キーワードから記憶を掘り起こして、あっと思い出す。
確かに、そんなことがあった気がする。
ボロ雑巾みたいになったやつを、助けた記憶が。
「あの時、救急車が来るまで悠里の話を聞いていて……その明るさに、惚れた」
「ま……マジで……?」
だって、それ。
あたしよりも、風吹の方がずっと先に、あたしに恋してたってことじゃん。
バクバクバクッと心臓が騒ぎ出す。
好きな男に惚れられてるのって、こんなにドキドキするのか?
「……信じたって顔だな。もう、逃げないか?」