【短】最強のあたしが3番目に強い男に恋をした
風吹がNo.3と言われるまでの実力者になったのは、妹を暴漢から守る為なんだとか。
それなのに、邪魔って? と首を傾げると「お待たせしました」と可憐な声が聞こえる。
顔を向けると、そこにいたのはキャスケットを被り眼鏡をかけた、地味な装いの女。
いつかの子と確かに同じだけど、近くで見ると、なぁんか見覚えがある顔をしているような。
「お兄ちゃんの彼女さんに会えて嬉しいです。初めまして」
「初めまして。あたしは廣井優里だ。……なぁ、もしかしてあたし達、どっかで会ったことある?」
「ふふ、いいえ。間違いなく“初めまして”ですよ。でも、簡単な変装だから、分かっちゃったかもしれませんね」
あたし達の向かいの席に座った妹ちゃんは、可愛らしい仕草でそう言うと、帽子と眼鏡を少しズラした。