【短】最強のあたしが3番目に強い男に恋をした
「わたしは定森朝音って言います。お仕事では、涼風って芸名を使ってますけど」
「えっ!? と、と、と、とも、むぐっ!?」
「……大声は、出さないでくれ」
露わになった顔は、雑誌やスマホ、テレビの画面越しでよく見る朝音ちゃんそのもので、思わず叫びそうになる。
風吹に口を塞がれて、なんとか大声を出すのを堪えると、ゆっくり手が離された。
当の朝音ちゃんは、帽子と眼鏡を元の位置に戻し、えへへと笑っている。
「お兄ちゃんからお話は聞いています。わたしのファン、になってくださっているんですよね」
「う、うう、う、うんっ!! あ、あ、あ、あたしっ、と、朝音ちゃんのラブ♡ユーを聴いて、恋したいって思ったんだ!」
「……そうだったのか」