Rebuild ~SEな元カレは彼女との空白の5年間をとり戻したい~
私は「失礼します」と叫ぶように言って会議室を飛び出した。
そのとき水原がやってきて、私の左手を掴んで引き留める。
掴まれた左手は先ほど、神流さんに掴まれた手だと分かると、私は水原の手を思いっきり振り払っていた。
水原も何かを察したのか、大きな目をさらに大きく見開く。
それから一瞬の間をおいて、はっとしたように水原が言った。
「ごめん、つい強く掴んだ。痛かった?」
「ううん、私こそ」
「で、何の話だったんだ?」
「仕事のことだよ」
確かに仕事の事、だった。よね?
一応、病院と経緯の資料、それに変更したシステムをまとめたものをあとで浅間さんから送ってもらおう。
そのほうが神流さんにとっても都合がいいだろうし……。
そう決めて、私は自席に向かった。