Rebuild ~SEな元カレは彼女との空白の5年間をとり戻したい~
一口も飲めないまま、ビールグラスを口から離してカウンターに置く。
「な、何言って……」
「昔は、雫から告白してもらった。だから今回は俺からきちんと告白したかった」
その言葉の意味がわからない。
「ふ、ふざけないでくださいよっ!」
再度ビールグラスを勢いよく手に取って、ごくごくごくと一気に飲みほすと、バンとカウンターに空になったグラスを置く。
それからキッと神流さんを睨んだ。
「神流さんにはお付き合いされている方がいるでしょう?」
「いない」
「プライベートで女性と会ってて? なんでそんな嘘つくんですか。ごちそうさまでした、さよならっ」
お会計をお願いして最後の一杯以外を電子マネーですぐに支払うと店を飛び出た。
なのに数分もしないうちに追いかけてくる足音があった。
「待ってくれ」
「なんでついてくるんですか」
足のリーチが長い分、すぐに追いつかれる。足の長さの差は残酷だ。
酔っているせいか、感情の起伏がおかしい。ぐっと唇を噛んでいないと泣いてしまいそうなのだ。