Rebuild ~SEな元カレは彼女との空白の5年間をとり戻したい~
「まさか先に言われるとはな。俺の好意に気づいていたわけじゃないよな?」
「……へ?」
(コウイって……どういう意味?)
私が首をかしげると彼は続ける。
「やっぱり分かってなかったか。感情が顔に出づらいってのは、こういうとき便利だけど驚かせてしまうな」
(あれ? コウイって好意ってこと?)
神流さんも私を好きだなんて、寝不足で寝ちゃって夢を見てるんじゃないかと思ってしまう。
(さっきため息だってついたし)
そう思っていると、もう一度彼は、はあ、と息を吐いた。
「社内恋愛する気はなかったんだ。しかも教育してた新人なんてからかわれるのは間違いないな。別にそれは良いんだが」
「……それは、どういう」
「芦川さえよければ、付き合おう」
彼はきっぱりと言った。
「は、はいっ! 喜んで!」
頷いた私をみて、彼は口角を上げる。
そのまま社屋の陰に引きよせ、頬をするりと撫でられた。
驚いて見上げるとまっすぐ端整な顔が近づいてきて、鼻先が触れる。
もう少し顔を寄せれば絶対にキスをしてしまう、そんな距離だ。