Rebuild ~SEな元カレは彼女との空白の5年間をとり戻したい~

「嫌じゃないです……。でも、なにぶん初めてなもので、なにかご迷惑をおかけするかもしれませんがいいのでしょうか」
「ふっ……」

 初めて彼が吹き出したので凝視してしまう。
 私が驚いていると、すまない、と神流さんは真顔に戻った。

「雫は肝が据わっているのかいないのか、いまだによくわからないな」

 そう言って彼は私を抱き上げる。いわゆるお姫様抱っこに驚いて神流さんを見上げる。
 いつも通りの神流さんの顔を、いつもとは違う角度で見られたことが嬉しくなった。

「寝室はどっち?」

 視線で寝室を指すと、彼は歩き出す。
 そのときになって突然、これから起こることがリアルだと分かって、やけに心臓が強く拍動した。

< 32 / 68 >

この作品をシェア

pagetop