Rebuild ~SEな元カレは彼女との空白の5年間をとり戻したい~
「嫌じゃないです……。でも、なにぶん初めてなもので、なにかご迷惑をおかけするかもしれませんがいいのでしょうか」
「ふっ……」
初めて彼が吹き出したので凝視してしまう。
私が驚いていると、すまない、と神流さんは真顔に戻った。
「雫は肝が据わっているのかいないのか、いまだによくわからないな」
そう言って彼は私を抱き上げる。いわゆるお姫様抱っこに驚いて神流さんを見上げる。
いつも通りの神流さんの顔を、いつもとは違う角度で見られたことが嬉しくなった。
「寝室はどっち?」
視線で寝室を指すと、彼は歩き出す。
そのときになって突然、これから起こることがリアルだと分かって、やけに心臓が強く拍動した。