Rebuild ~SEな元カレは彼女との空白の5年間をとり戻したい~
私の父はいわゆるシングルファザーだった。
私が8歳の時に母が亡くなってそうなった。
と言っても、もともと父母の仲は良くなかったし、父は子どもが好きというタイプでもなかった。
父は、私の視力だけでなく、身長や体重、学校であったできごとだって、何一つ興味を持つことはなく、最後は病気で私が就職する前に亡くなった。
「雫のことは全部興味あるから覚えてしまうんだろうな」
あっさりと彼が言い、思わず彼を振り返った。
神流さんはどうした? と首をかしげる。
「ううん、なんでもないです」
好きな人が自分に興味を持ってくれるだけでただ嬉しくて、この気持ちをどう伝えたらいいのかわからなくて、そっと彼の胸に額をうずめる。
後ろ髪を労わるように撫でられ、ひだまりのような心地よさに目を瞑った。