Rebuild ~SEな元カレは彼女との空白の5年間をとり戻したい~
「結婚したい人っていうのはもちろん雫のこと。特に浅間さんからは食い下がられたが断った。そしたら突然、上海転勤の内示だ。そのときなんだ、雫から別れを告げられたのは」
私はあの時自分の気持ちだけでいっぱいいっぱいになっていた。
彼は私との将来のことまで考えていてくれたのに。
「今考えれば、俺が浅間さんと見合いしたって思ってたんだよな」
水原が慌てて言う。
「俺のせいです。俺が二人を見かけて、先に浅間さんに直接聞いたんです。そしたら、『結婚も視野に入れてる彼とホテルにくらい行くでしょう』って言われて、付き合ってるって勘違いしました」
「勘違いさせるような言い方には違いないな。水原が気にすることはない」
「違うんです。芦川にはまだ言ってなかったんですが……浅間さんに言われたんです。『もし彼の周りをうろちょろしている女子がいるなら、このことをきちんと伝えておいて』って。俺はずるさもあってわざわざ芦川にそれを伝えたんですよ」
落ち込んでいる水原に神流さんはぴしゃりと言った。
「さっきも言っただろ。そんな勘違いの一つや二つで別れてしまったのは、俺の責任だ」
「でも」
「雫から別れを告げられた時にはもう内示は出てたし、中国の環境も分からない。それに仕事も楽しくなってきた彼女を引き留めないほうが彼女のためになるなんて俺だって勝手に納得した」
私は神流さんのためと思って別れを告げて、
神流さんは私のために、あの時引き留めなかった。