Rebuild ~SEな元カレは彼女との空白の5年間をとり戻したい~
「こんな度量の狭い男なんだ。よほど水原の方が心が広いと思ってる」

 神流さんは自重気味に微笑んで、私の手を握りしめた。

「それでももう、この手を離してあげられない。離したくないんだ。雫ともう一度やり直したい。結婚だって覚悟して考えて欲しい」

 神流さんの言葉はどれもゆっくり自分に染み込んでいくように思う。

 あの時も怖がらずに、こうやって向かい合って話せば良かった。

(どんな言葉を聞いても、ただ、神流さんを好きになるだけだったのに……)

 気づくと泣いていた。
 少し驚いた顔をした神流さんをまっすぐ見つめ、微笑む。

「はい! 喜んで!」

 その返事は5年前のあの時と同じものだ。
 彼とやり直すなら、きっとここからだと思った。
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