Rebuild ~SEな元カレは彼女との空白の5年間をとり戻したい~
「元なだけで、今じゃない」
「今、誰かと付き合ってるのか? 水原とか」
思わずぐっと言葉に詰まる。
そうだ、と嘘を返せばいい。そうしてもあとで謝れば水原は許してくれるだろうと思った。でも――。
「つ、付き合ってません」
「そう」
「でも、好きな人くらいはいます」
それが精いっぱいだ。
その時、初めて目の前の彼の表情が大きく崩れたことに気づく。
「5年が大きいってことはわかってたが、直接そういうことを聞くのはショックだな」
仕事では決して見せない、眉が少し下がった顔に胸がぎゅっと痛む。
彼の言う通り、5年は大きい。
彼を忘れるには十分な時間だったはずだ。
だけど、私は結局忘れられないまま過ごしてしまった。
そのことを悟られないように息を大きく吸い、できるだけ冷静に返す。
「ショックってどの口が言ってるんですか」
「俺は雫を取り戻しに来たんだ」
きっぱりと、まるでプレゼンをしにきた、というような口調で彼は言う。
私はつい眉を顰めてしまった。
「何言って……」