エリート航海士と結婚したら、溺愛されて愛の証を授かりました。
「ありがとうございました! またご利用お待ちしてます!」
閉店間際。今日も、お客様をお見送りをして自動ドアを閉めようとしたその時だった。突然、男性の声が聞こえて外に出る。
「……っすみません! もう、店閉まっちゃいますか!?」
「えっ、あ、まだ大丈夫ですよ」
閉店作業をする時間だが、まだ閉店する時間まで五分ほどある。ただ、もうお客さんなんて来ないかなぁなんて思ったから閉めようとしていたところだった。
「何かお探しですか?」
「あっ、はい。今日、母が誕生日なんです。仕事があってこんな時間になってしまって」
「そうなんですね、お母様は何か好きなものとかわかりますでしょうか?」
「可愛いものが好きです、えっと動物とかそういうのが」
男性客の要望やプレゼント相手の好みや趣味などを聞いて贈り物を選んでいき、数点から彼に選んでいただく。
「ラッピングはどうされますか?」
「お願いします!」
「ありがとうございます。では、贈り物に合わせたお色でお包みさせていただきます。お待ちください」
私は、包装紙を使いながらキャラメル包みという包み方で丁寧に包んでいく。それにリボンをつけてその間にメッセージカードで【ハッピーバースデー】と英語で書かれているものを挟んだ。それを崩れないように紙袋に入れる。
「お待たせしました、このようなラッピングでよろしいでしょうか?」
「ありがとうございます! とても素敵です……よかった、本当にありがとうございました」
「いえ。とんでもございません。お母様に喜んでいただけるといいですね」
男性はニカっと爽やかな笑顔を見せると「ありがとうございます」と再度言って、帰って行った。その後は誰もお客が来ることはなく、お店を閉じた。
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