エリート航海士と結婚したら、溺愛されて愛の証を授かりました。
あったかいお湯に浸かれば、きっと緊張もほぐれると思っていたのだけど全くほぐれなかった。ほぐれるどころか、緊張はマックス近くになっている気がしてため息が出てしまうくらい。
ため息ばかりしているなら出たほうがいいと思い、浴槽から出るとバスローブを羽織り着ると脱衣室からさっきまでいた部屋に戻る。
「あ、ありがとうございました」
「花埜さん、お帰りなさい。じゃあ俺もお風呂入ってきますね」
遥生さんはそう言って、タオルを持って部屋から出ていった。しばらくしてシャワーの音がして、壁一枚挟んだ場所で彼がいるかと思うと心臓が飛び出るんじゃないかと思うくらいにドキドキし始める。
だって、もしかしたら……そういうこと、するかもしれないとか考えてしまう。
落ち着かなくてスマホの電源を切ったり付けたり繰り返ししていると「花埜さん」と声をかけられた。
「あっ、遥生さん。お、お帰りなさいっ」
「うん、ただいま」
私の名前を呼んだ遥生さんは私の隣に座る。肘が触れちゃいそうな距離だ。バスローブ越しで肌だけが触れ合ってるわけではないのに遥生さんの体温が感じられて体が沸騰するように熱っているようだ。