エリート航海士と結婚したら、溺愛されて愛の証を授かりました。
「……あ、の、遥生さん」
「ん? どうした?」
「私たち、夫婦じゃないですか」
「うん、そうだね」
「……遥生さんは、子どもとか考えていらっしゃいますかっ?」
私が思い切ってそう聞くと、まさか私から“子ども”という言葉が出てくるとは思わなかったのか驚いて黙ってしまった。
「俺は、欲しい。好きな人との子どもなんだ、俺たちの元にきてくれるなら嬉しい。だけど、俺はまだ航海士として海で仕事をしてる。次に帰って来れるのは夏の八月だろう? 君が悪阻などで辛い時そばにいてあげられない。それに、花埜さんにとって好きな男じゃないだろう」
「好きなのかどうかまだわかりませんけど……ひと月、一緒に暮らして遥生さんに甘やかされてあなたに好意があります。恋愛感情なのか友人としてなのかわからないんですけどね。でも、私、遥生さんとの子供なら産みたいです」
「そっか、ありがとう。嬉しい……今、そう言ってくれたってことは、今日してもいいってことだよね」
遥生さんにそう耳元で囁かれて私はその言葉に頭をちょこんと上下に動かして頷いた。