エリート航海士と結婚したら、溺愛されて愛の証を授かりました。
ベッドの端で座っていた私たちだが、ここだと体勢がきついんじゃないかとベッドの中心で彼の膝に向かい合うように座り込む。こんな体勢になったことがなかったからドキドキする。
それに、一緒に暮らしていたのに遥生さんと密着することはなかったからか遥生さんって背中が大きいいんだなぁとか抱き締める力が結構強いんだなぁとか今までわからなかったことがわかってくる。
「……そろそろ、キスしてもいい?」
「はいっ、よろしくお願いします……っ」
なぜか、深くお辞儀をしてしまって「ぷはっ」と笑い声が聞こえて思わず私は頬を膨らませてしまう。すると、遥生さんに頭を撫でられてごめんねと謝られ膨らませるのをやめると彼はもうぺったんこになった頬にそっと触れた。手は大きくて骨張っているのに、頬に触れる手は優しい。
「……っ……」
「ドキドキしてる?」
「それは、もちろんです……っ遥生さんは余裕そうですね」
「余裕なんてないよ、俺もずっとドキドキしてる」
すると私の体を思いっきり抱きしめると、ちょうど遥生さんの胸元にダイブする。すると、そこからドクン、ドクンと心臓の音が聞こえきた。
「……恥ずかしいくらい、鳴ってるでしょ」
「……うん、聞こえる……」
「俺も余裕なんてないよ、だけどそれよりも君に触れたい気持ちが勝ってるだけだよ」
遥生さんは優しく微笑み、両手を私の両頬に触れて「キス、させて」と言った。