エリート航海士と結婚したら、溺愛されて愛の証を授かりました。
そのまま、私たちは手を繋ぎながら眠ると隣で音がして私は目を覚ました。
「……あ、起こしちゃった?」
「遥生さん……早いですね。まだ四時半じゃないですか?」
「うん。五時には、俺は出るから支度しないとなんだ。今下のコンビニでおにぎりとか買ってきたんだけど食べる?」
目が覚醒し始めて「はい」と頷くと、そこにはいつもの私服姿ではなく作業着姿の遥生さんがいた。雰囲気が全く違って、とてもかっこいい。
「じゃあ、シーチキンサラダと梅干しあげる」
「ありがとうございます」
「うん、花埜さん。お茶も飲んで」
有名メーカーのラベルのついたペットボトルのお茶を渡され、一口のむ。飲んでからおにぎりのフィルムを外して食べる。彼は、おかかと辛子明太だった。
「港まで、一緒に来る?」
「いいんですか?」
「遠目だけど、船員の家族が見送りをするスポットがあるからそこまでならなんだけど」
少しかっこいい姿見れるかもしれないと思ったら、ワクワクしてきて「行きます!」と手を挙げて返事をした。
おにぎりを食べ終えると、遥生さんは肩章を取り付けていた。
「それはなんですか?」
「これは階級を示していてね。この三本線が一等航海士で船長が四本線。二等航海士は二本線、三等航海士が一本線だな。後、機関士の方もこう言ったものがある」
「へぇ……そうなんですね」
出発までは話せる範囲で仕事のことを聞いた。航海をするだけではなく、事務仕事もあるし荷物を積んだり下ろしたりする作業もあるし、船長に何かあったらその代わりをするのも一等航海士の仕事なんだとか。すごい、責任感がある仕事なんだなぁと考えさせられた。