エリート航海士と結婚したら、溺愛されて愛の証を授かりました。
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「……お待たせいたしました」
「先ほどは、本当にすみません!」
彼が『恋人になってください』発言した後、まだお客様がいたから注目の的になってしまった私たち。まぁ、そりゃ当然だ……突然公開告白の言葉が聞こえたらそちらを見てしまうものだから。
だけど、とても恥ずかしく……何やってもミスを繰り返してしまったのは言うまでもない。今だに動揺している。
「いえ。それよりもさっきの恋人になってほしいという発言はどういうことなのか説明いただけますか?」
「はい、もちろんです。説明いたします……っ」
ことの発端は、店でプレゼントを買った後。一直線でお母様にプレゼントを渡しに行ったのだという。まぁそこは分かる。だけどその後が問題だった。
「お母様からお見合いの話をされたから見栄を張って、そのまま恋人がいると話したと。それが、たまたま見た私の苗字を言ってしまったと言うことですね?」
「はい、そうです……」
「しかも、航海士は一年の中で三ヶ月しか休みがなくて今はその一ヶ月。あまり帰ってこないのだから、その人と結婚しなさいと急かされている」
「そうです。だから、恋人ではなくできれば結婚していただきたいです。これも頂いてきました」
テーブルに置かれたのはよくドラマで見る【婚姻届】の用紙だった。しかも彼の名前が記入されているし、保証人の欄も埋まっている。どういうことよ……これは拒否権ないってことじゃないか。