エリート航海士と結婚したら、溺愛されて愛の証を授かりました。



「なんか『俺が幹部やるから、いい日にち教えて!』って言ってましたよ。LINEをしてあげてくださいよ、岸田さん花埜さんが結婚してから結婚報告以来何もくれないって言ってました」

「あっちもくれないくせに、というかあの人。本当に仕事しか連絡くれないのに……だけど、いい日にち、送っとく」

「それがいいですよ、もしかしたらあっちから来るかもしれないですけど」


 なぜだか、岸田くんの話で盛り上がっていたちゃんと仕事をしながらも私たちは遅番の子が来るまで話をした。それにネームプレートを見て、贔屓にしてくださっているお客様からは「結婚されたのね、おめでとう」とお祝いのお言葉をいただいてしまった。

 そんなお祝いの言葉を言われて退勤時間。今日は早番だったから終わるのが早くてウキウキとしながらお店から出るとお店の外で遥生さんが待っていた。


「お疲れ様、花埜さん」

「はい。お疲れ様です……今日も来てくれたんですか?」

「愛しい奥さんをお迎えに来たんだ。出航が近いし、少しでも一緒にいたいんだ。ダメだったかな」



 顔面偏差値がとっても高い彼に言われたら、ダメだとか言えない……って、愛しい奥さんってどういうこと!?
 確かに、もうすぐ彼は一ヶ月のお休みが終わってまた出航することになっているけど心の底から愛し合っている夫婦じゃないんだし毎日くる必要はないと思うんだけどなぁ。




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