【完結】たこ焼き屋さんの秘密。


「分かってますよ」

 いい匂いが広がってくると、たこ焼きがより美味しそうに見える。

「お姉さん、ちゃんとご飯食べてる?」

「食べてますよ……一応」

「たこ焼きだけじゃなくて、野菜も食べないとダメだからね」

 どの口が言ってんのよ!と思いながらも、彼なりに私を気遣ってくれたのかなって思って、「ありがとうございます」と返事をした。

「はい、お待たせしました。キムチーズたこ焼きです」

「わ……美味しそう。 いただきます」

「熱いから気を付けて」 

 キムチーズたこ焼きも何回か食べたけど、ピリ辛なのが美味しい。チーズがよりピリ辛さをマイルドにしてくれている。
 キムチのシャキッとした食感もいい。

「どう?美味しいでしょ?」

「はい。美味しいです」

 そんな私の目の前に、「はい、これも食べて」とまた何かが置かれる。

「え?」

「俺お手製の野菜たっぷりオムレツ」

 え、オムレツ……?

「ちなみにそれ、メニューにないからね? お姉さんのためだけに作ったお手製オムレツだから」 

「えっ……いいんですか?」
 
 私のために、これを作ってくれたの……?

「うん、ほら食べて。美味いよ」

「……いただきます」
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