ヴァンパイアに魅せられて〜絆〜
「・・・てっ・・・テメー」


「止めろ」


かしららしき男が声を張り上げると、手下は振りあげていた手を空中で止める。


「お頭」


「こいつは、お前ごときで勝てる相手じゃない。ここはひとまず引くとしよう」


リュートを睨みつけたまま、リュート君を解放すると、渋る手下を従えて小屋から出て行った。


「あ、ありがとうございます」


怯えながらも、母親は礼を言う。


しっかりと自分の子供を抱き締めて。


その怯えの対象に自分たちも含まれているのだと悟る。
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