ヴァンパイアに魅せられて〜絆〜
「・・・リュート?」


不安げに名前を呼べば、肩を抱く手に力を入れる。


「大丈夫だ」と、言う意味がこもっていることはわかった。


それでも私を見ずに頭を睨みつける様子から、危険な状況が変わっていないことはわかる。


「まぁ、そう睨むなって、悪いようにはしないから」


肩をすくめるお頭の言葉にリュートが警戒を弱めることはなかった。


「目的を言え」


正直に答えてくれるとは思わない。


それでも、他に言葉が見つからない。
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