ダイエット中だけど甘い恋を食べてもいいですか?
フィットネスクラブにカッコイイ人がいました。
そのフィットネスクラブは、「ファイト&ビューティ」という名称で、職場の最寄り駅から1分もかからないビルの3階にあった。

小さなエレベーターに乗って3階に着くと、広いフロア―が見渡せ、受付にはオレンジのウエアを着て髪をアップにした小柄な女性が立っていた。

「こんにちはぁ!」

突然、その女性に大声で挨拶されて、私はビクッとしてしまった。

体育会系の人は元気だな、このノリに付いていけるかな、と少々怖気づく。

しかしここまで来てノコノコと帰るわけにはいかない。

私は意を決してその受付女性に声を掛けた。

「あの・・・お試しで入会したいのですが。」

「はい!お試し入会ですね!ではご説明いたしますね!!」

その受付女性は白い用紙を二枚出して、一枚目に書かれている諸々の説明を読み上げ始めた。

設備やロッカールームの使い方、禁止事項、お試しの1ヶ月が過ぎた後にかかる料金などを丁寧に読み上げたあと、二枚目の用紙を私の前に置いた。

「ではこちらにお名前や住所などの個人情報をお書きください。決して悪用や流出はさせませんのでご安心を。」

私は促されるまま、名前や年齢、住所や連絡先の電話番号などをボールペンで記入していった。

そしてその用紙を受付女性へ手渡した。

「ありがとうございます。では本日からご利用頂けますが、如何なさいますか?」

こういうことは勢いが大事だと思い、私は受付女性に告げた。

「じゃあ、今日からお世話になります。」

「了解しました。ロッカールームは廊下を出てすぐ手前にございます。久保田様、頑張りましょうね!」

受付女性はそう言って両手でガッツポーズを作り、私を送り出してくれた。


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