ダイエット中だけど甘い恋を食べてもいいですか?
「んっおいしーー!!」

食べるのが大好きな私は、毎日のようにこの言葉を唱え、そして食べ物を咀嚼する。

しかし順は白飯を箸で口に運ぶ手を止めて、私がもう一品用意したおかずをじっと眺めた。

「芽衣ちゃんさあ」

「ん?」

「どうしてここに唐揚げがあるわけ?」

テーブルの中央にはこんがりと揚げたての唐揚げが、山のように皿に盛りつけてあった。

「え?順、ニンニク味の唐揚げ、嫌いだったっけ?」

私が不思議そうな顔をすると、順は大きくため息をついた。

「そうじゃなくて!シチューも唐揚げも主菜でしょ?そんなに食べきれないよ。」

「なに言ってるの。若い男子が。これくらいぺろりと食べなきゃ。」

私は油でテカった唐揚げを箸で挟むと、その肉の塊にかぶりついた。

「バターがたっぷり入ったシチューと油ギッシュな唐揚げのコンボ。見てるだけで腹がもたれる・・・。」

元々胃下垂でいくら食べても太らない順だけど、最近は体型を気にしているのか、昔ほど食べなくなってしまった。

私は順の猫っ毛な黒髪の頭を人差し指で突いた。

「文句言うなら無理に食べなくてもいいよ?明日の私のお弁当のおかずにするから。」

「ええ?夕飯に唐揚げ食べて、次の日の弁当も唐揚げ食うわけ?」

順がげんなりとした顔を見せた。
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