ダイエット中だけど甘い恋を食べてもいいですか?
おねだりしたんだ。

そのブラウスは見るからに高そうで、多分有名ブランドのモノだ。

きっと5万円くらいする代物だろう。

たしかに勇吾君は大手企業のエンジニアでそれなりのお給料はもらってはいると思うけれど、記念日や行事でもないのに、そんなに高価なものをプレゼントするなんて、よっぽど文香さんに入れ込んでいるんだ、と思い知らされた。

スタイルの良い女性は、どんな服をプレゼントされても似合うから羨ましい。

それから文香さんは勇吾君からもらったプレゼントの数々の話や、高級レストランで食事をした時のことを話しだした。

「芽衣さんは勇吾君と長い付き合いなんでしょ?いつもどこで食事しているの?」

「私と清水君はハンバーガーショップがほとんどですね。あとはファミレスとか?」

「へえ。そうなの。」

文香さんは勝ち誇ったような顔を私に向けた。

きっと私にマウントを取っているんだ。

勇吾君は気まずいのか、さっきからコーヒーに口を付けてばかりいる。

「私ね。不安だったの。勇吾君が芽衣さんのことばかり口にするから。もしかして芽衣さんに勇吾君を取られちゃうかもしれないって。」

「文香さん。何度も言ってるだろ?俺とメイメイはそんな仲じゃないって。それにメイメイには彼氏がいるんだから。」

「え?そうなの?」

文香さんが少し驚いた顔をした。

「はい。」

私はここぞとばかり胸を張った。

「実は、今日もここへ顔を出してくれる約束なんです。」

そう言いつつ、私はスマホの時刻表示を確認した。

響さん、まだ仕事かな。

そろそろ来てくれないと、場が持たないよ。

そう思っていると、私の肩にポンと大きな手が置かれた。


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