ダイエット中だけど甘い恋を食べてもいいですか?

「芽衣。お待たせ。」

響さんの低い声が、私の耳元で囁かれた。

仕事帰りだからか、グレーのスーツに黒いネクタイを締めた響さんは、いつも以上に格好良かった。

響さんは私の隣に座ると、暑いのかジャケットを脱ぎ、ネクタイを緩めた。

「どうも。芽衣とお付き合いさせてもらっている澤乃井響です。よろしく。」

響さんの存在感に、勇吾君も文香さんも少しの間固まっていた。

しばらく4人で歓談しているうちに、話題作の映画の話になった。

それは「ヤクザVSヴァンパイア その命、頂戴します」というホラーなんだかコメディなんだかよくわからない映画で、特に男性の間で大人気の作品だった。

「あのヤクザの発砲シーン、格好良かったですね。」

「ヤクザなんてそんなに格好良いモンじゃねえぞ?」

男二人は映画の話で盛り上がっていた。



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