ダイエット中だけど甘い恋を食べてもいいですか?
ダイニングキッチンへ行くと、テーブルの上にはカレーライスとトマトサラダが並んでいた。

「ごめん。僕、これくらいしか作れなくて。いつも芽衣ちゃんに美味しい料理作ってもらっているから、たまには恩返ししたいと思ったんだけど。」

「ううん。すごく美味しそう。」

私と順は席に着くと、手を合わせていただきますの挨拶をした。

スプーンでカレーのルーがかかったご飯を掬う。

口に入れると、トロピカルな甘みが口の中一杯に広がった。

「甘い・・・私が作るのと味が違うね。」

「うん。隠し味にバナナとココナッツを入れてみた。」

「だから南国の香りがしたんだ。」

「甘すぎなかった?」



「んっ。美味しーー!!」



「芽衣ちゃんの美味しーー!!が出ればもう大丈夫だね。」

順が私を見て、安心したように微笑んだ。

持つべきものはしっかり者の弟だな。

悲しくてもお腹は減るし、美味しいものはその悲しみを和らげてくれる、そう思った。

思えば私は響さんに、ずっと美味しいもので励まされてきた。

フィットネス帰りでの様々な美味しいおつまみの数々、そしてこの前連れていってもらったカロリーオフの甘いスイーツ・・・。

今度は私が響さんを励ます番だよね。

響さんが文香さんを好きなら、私は友達としてそれを受け入れなきゃ。

・・・でも、今はまだ無理。

もう少しだけ時間が欲しい。

時間が経ってこの想いを吹っ切ることが出来たら・・・きっと響さんの恋を応援してあげられると思うから。

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