ダイエット中だけど甘い恋を食べてもいいですか?
私はいつも通りにフィットネスクラブ通いを続けていた。

もう響さんに告白なんて出来ないけど、せめて目標体重になるまではダイエットを頑張ろう・・・そう思った。

響さんとは相変わらず挨拶を交わし、少しだけ話をする。

けれど響さんからの夕食の誘いを、もう3回も断っている。

響さんから、文香さんとのことを聞くのが怖かった。

今日もランニングマシンで汗を流していると、痛いくらいの視線を感じた。

私の目の端に、タオルで汗を拭きながら私を見る響さんの姿が映し出され、私はとっさにその視線を外してしまった。

ランニングマシンから降りると同時に、響さんが私に近づいて来た。

私は小さく頭を下げた。

けれどその笑顔はやはり強張ってしまった。

「芽衣。お疲れ。」

「お疲れ様です。」

響さんの優しい声が私を包み込む。

でも、今はその優しさが辛かった。

「今夜はどう?一緒にメシ。」

「あ・・・えっと・・・今日もちょっと用事があって。」

すると響さんは大きくため息をついてみせた。

「用事・・・か。前回は友達に不幸があって、その前は親戚に不幸があって、その前の前は同僚に不幸があったんだっけ。今日は誰に不幸があったの?」

「えっと・・・」

「芽衣は嘘を付くのが下手だね。」

「・・・・・・。」

「最近、俺のこと避けてるよな?俺、芽衣になにかしちゃった?」

「いえ!響さんは何にも悪くないんです。これは私自身の問題で。」

「何か悩みがあるのかな?俺でよかったら話聞くけど。」

響さんと文香さんの事を考えると、夜も眠れないんです・・・なんてこと本人に言えるわけない。

「・・・大丈夫です。」

「そっか・・・。判った。でももし話したくなったらいつでも連絡して欲しい。待ってるから。」

「・・・はい。」

「じゃあ、またな。」

「はい。また。」
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