ダイエット中だけど甘い恋を食べてもいいですか?
一旦は私に背を向けた響さんが、再び私の方へ振り向いた。

「あ、そうだ。芽衣に頼みたいことがあったんだ。」

「・・・・・・?」

響さんは声を小さくして言った。

「勇吾君に伝えて欲しいことがある。」

「勇吾君に?」

私は首を傾げた。

「なるべく早く文香さんと別れて欲しいって伝えてくれないか。」

「・・・え?」

何を言われているのか、とっさには判らなかった。

「響さんは、勇吾くんと文香さんが別れて欲しいんですか?」

「ああ。」

響さんが深刻な顔をして頷いた。

「俺から言ってもきっと聞いて貰えないだろ?でも芽衣の言葉なら聞き入れてくれるんじゃないかと思うんだ。」

「どうしてそんなことを言うんですか?理由を聞かせて下さい。」

すると響さんは心底困ったような顔をして俯いた。

「それはごめん・・・今は答えられない。」

「・・・勇吾君は文香さんのことが好きなんですよ?そんなこと言えるわけないです。」

私は唇を震わせながらそう答えるのが精一杯だった。

しかし響さんはきっぱりと言った。

「勇吾君と文香さんは釣り合わない。」

それじゃあ、響さんとなら文香さんは釣り合うっていうの?

自分が文香さんと付き合いたいから、勇吾君に身を引けっていうこと?

それを私の口から言えっていうの?

「勇吾くんが可哀想です。」

「・・・・・・。」

そんなに文香さんを独占したいの?

私は心に突き刺さった棘から血を流しながら、泣きそうな顔で微笑んでみせた。

「・・・わかりました。勇吾くんに伝えます。」

「良かった。よろしくな。」

「・・・はい。」

「嫌な役目を押し付けて、本当にごめん。」

「いえ。」

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