恋なんかはじまらない
第一章 幼なじみ




「おいっ、おい志稀!起きろ!」


「・・・ん~」



それはいつもの朝の風景。



「おいテメッ、起きろっつってんだ!
俺まで遅刻すんだろ!」


「も~~、何だよぉ、そんな急いで・・・」



「ほらっ、時計見ろ!」



・・・・・・



「遅刻~~~~っっ!!」



ばたばたばた・・・



「ちょっと陽平!もっと早く起こしてよ!」



「起こしてんだろ、さっきから!」



「あたしが起きるまで起こしてよ!」



「いや、さっき起きただろお前!」




奴とのケンカなんて日常茶飯事。


なんでコイツが朝起こしに来てるかというと、


あたし北村 志稀(kitamura siki)と、


コイツ紺野 陽平(konno youhei)の家が、お隣同士で幼なじみだから。


陽平とは、気がついた時から一緒にいて、


もう家族みたいな存在だった。


親も仲がいいし、いつでもどこでも一緒にいて、今思えばそれが当たり前になってた。



だから、このときは考えもしなかったんだ。



この関係が、壊れることになるなんて。












< 1 / 29 >

この作品をシェア

pagetop