恋なんかはじまらない
第一章 幼なじみ
「おいっ、おい志稀!起きろ!」
「・・・ん~」
それはいつもの朝の風景。
「おいテメッ、起きろっつってんだ!
俺まで遅刻すんだろ!」
「も~~、何だよぉ、そんな急いで・・・」
「ほらっ、時計見ろ!」
・・・・・・
「遅刻~~~~っっ!!」
ばたばたばた・・・
「ちょっと陽平!もっと早く起こしてよ!」
「起こしてんだろ、さっきから!」
「あたしが起きるまで起こしてよ!」
「いや、さっき起きただろお前!」
奴とのケンカなんて日常茶飯事。
なんでコイツが朝起こしに来てるかというと、
あたし北村 志稀(kitamura siki)と、
コイツ紺野 陽平(konno youhei)の家が、お隣同士で幼なじみだから。
陽平とは、気がついた時から一緒にいて、
もう家族みたいな存在だった。
親も仲がいいし、いつでもどこでも一緒にいて、今思えばそれが当たり前になってた。
だから、このときは考えもしなかったんだ。
この関係が、壊れることになるなんて。