恋なんかはじまらない
すれちがい
「おい志稀、お前さぁ、こないだから何なんだよ」
「・・・へ?」
陽平は教室に入ってくるなり、
足早にあたしの所に来た。
「へ?じゃねー。
お前明らかに態度おかしーだろ。
俺何かしたかよ?」
「は?してないよ。何言ってんの?
いつも通りだって――」
あたしは里穂の所に行こうとした。
が、陽平に腕を摑まれた。
「だったらそうやって逃げんなって」
「…離してよ」
「やだ」
「・・・」
何かやだ…この状況。
やめてよ…そんな見ないで。
逃げられなくなる。
「…もしかして避けてんの?」
「・・・」
「何か言えって」
やめてよ。
これ以上
あたしの中
かき回さないで・・・