恋なんかはじまらない
第二章 歯車
次の日から、陽平は迎えに来なくなった。
分かってる。
自分から手放したんだから。
やっぱり嫌だなんて
そんなわがまま言えるわけない。
「おはよっ、志稀!」
教室に入ると、里穂が声をかけてきた。
「おはよ、里穂」
「ねぇねぇ、なんで陽平くんと別々に来てるの?」
「あ、えと・・・」
あたしは教室を見渡し、陽平の姿を探した。
すると、男子と楽しそうに話してる陽平が目に留まった。
そして、目が合った。
「あ・・・」
と、あたしは声を漏らしたけど、
陽平はすぐに目を逸らした。
「もしかしてケンカ?」
俯くあたしを見て、里穂は興味津々に聞いてきた。
「まぁ…ね」