恋なんかはじまらない
・・・陽平
大事な人なんて居たんだ・・・
知らなかったなぁ・・・。
気がつくと、西野さんがこっちに向かって走ってくる。
ヤバッ・・・
そして、ばっちり目が合った。
「「あ・・・」」
西野さんの顔は、涙で濡れていた。
・・・本気だったんだなぁ・・・
「あ、ご、ごめん・・・
別に、のぞきじゃなくて・・・」
必死に言い訳するあたし。
・・・思い切りのぞきじゃん。
あたしのバカ・・・
「あ、ううん、いいの。
・・・いいんだ」
西野さんは、階段を走っていった。
「・・・あたし何やってんだろ」
「本当にな」
「だよねぇ・・・・・・って、え!?」
振り返ると、冷めた目の陽平がいた。