恋なんかはじまらない
――やっぱ陽平も
好きな人くらいはいるんだな・・・
へーー・・・
ズキッ
「?」
「どした?」
「あ、いや・・・」
何だ今の・・・
ズキッ!
「!」
また?
「お前さぁ、どしたんだよ。
腹いてーのか?」
陽平の顔が近づく。
途端に、あたしの動機が大きく鳴り出した。
「…っな、何でも無いってば!」
「何でも無いって・・・」
「あ、ほら授業始まるし!
先行ってるわ!バイバ~イ!」
「は?おい志稀・・・っ」
あたしは陽平を残し、猛ダッシュで教室へ走った。
「・・・何だアイツ」