結婚は復讐の為だった…いつのまにか? …

復讐1

 それは雨が多い梅雨の時期だった。
 広い洋館のようなお屋敷の宗田家は、お手伝いが3人、運転手が一人住み込みで住んでいる。
 住む場所は離れを建てて寝起きは別で生活をしてもらっている事から、非常に居心地がいい仕事としてちょっと有名になっている。
 その為、一人でもお手伝いが辞めると求人申し込みが100人以上は入って来る。
 日給も15000円と非常に好条件で、運転手には月給30万以上支給されている。
 しかも三食風呂付で、お屋敷で出されるご飯と同じ物を食べさせてもらっていて、何かの用事で外食した時はその費用まで支給される。
 住み込みで働く人は、それなりの事情を抱えている人も多く、中には子供を連れて隠れるように生活をしなくてはならない人もいたとか。
 
 そんな宗田家に突然襲って来た悲劇が…。


 宗田聖(そうだ・せい)。
 現在小学校3年生になった宗田家の長男。
 双子の妹の香(かおり)がいるが、祖父母と一緒にアメリカで暮らしたいと言い出して、小学校入学と同時にアメリカに行ってしまい現在は聖と両親だけがお屋敷で一緒に生活している。

 母の愛香里(あかり)はとても穏やかで優しい人。
 聖は怒られた事は一度もなく、小さな頃からやりたい事は何でも一通りさせてもらっている。
 現在はバスケットボールに夢中で、土日は少年団に入って練習や試合に励んでいる。

 
 今日は日曜日で聖はバスケの練習で、市民総合体育館に行っていた。
 運転手が送り迎えをしているため、聖が練習している間は明香里も父の聖龍(せいりゅう)も家でゆっくり過ごしているか、2人で買い物に行ったりカフェに行ったりとのんびり過ごす事が多い。

 今日は聖龍は仕事の取引先の人と食事会に出かけており、家には愛香里一人だった。
 お手伝いも仕事を終え、夕飯のユン日まで一息ついて休憩していた。
 運転手は聖の迎えに出ていた。


「ただいま」
 バスケの練習から帰って来た聖が元気よく帰って来た。
 短パンに半袖の練習着姿の聖は、女性よりの顔立ちで可愛いと言うよりも綺麗系なイケメンで、軽やかな茶色い髪はスポーツがしやすいように短髪にしている。
 大きなリュックを自分の部屋に置いて、愛香里がいる部屋に向かった聖。


 今日の練習の様子を話したくて、聖は小走りでやって来た。

 だが…。
 愛香里の部屋の前にやって来た聖は、部屋の前で佇む一人の女の子を目にして立ち止まった。
 見たことがあるような女の子だけど、誰だろう?
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