結婚は復讐の為だった…いつのまにか? …
「お前より、私の方が柚香ちゃんを幸せにできる」
「何考えているんだよ! いくつ離れていると思ってるんだ? 親子ほど年の離れた女で、しかも息子の元嫁と結婚ってありえないだろう? 」
「別に、ありうるだろう? 愛している人なんだから」
「冗談はやめろよ! 父さんは、母さん一途だろう? 」
「ああ、それは変わらない。でも、柚香ちゃんを見ていると愛香里が傍にいてくれるようで安心できるから」
「そんな事…」
「柚香ちゃんは、小さい頃はよく愛香里と遊んでいたんだ。お前がバスケでいない時や、私が仕事で誰もいない時。愛香里はよく柚香ちゃんを家に招いていた。柚香ちゃんの両親も、忙しい人で家にいない日が多くて休みの日も家で一人でいる事が多くてね。愛香里は実の娘のように、とても可愛がってくれていたんだ」
そんな話し聞いたことがない…。
なんで?
初めて聞く話に、驚いている聖。
「隠していてすまなかったな。愛香里から口止めされていたんだ、聖が心配して好きな事をやめてしまったらいけないからって」
もしかして…あの時、柚香が家にいたのは…母さんが呼んだからなのか?
聖はすっかり困惑していた。
「とりあえず、私は今から病院へ行くよ。大切な柚香ちゃんが心配だからな」
聖龍は離婚用紙を置いたまま、そのまま出て行った。
「…どうゆう事なんだよ…。母さんが、柚香と親しかったって…。あいつ、そんな事一度も言わなかったけど…」
困惑した頭の中、ただ、今はとりあえず病院へ向かうしかないのだと聖は思った。
離婚用紙は部屋の引き出しにしまって、聖は病院へ向かった。
一足先に聖龍が車で病院へ向かってしまった事から、聖は歩いて行く事にした。