結婚は復讐の為だった…いつのまにか? …
復讐4
翌日になると、柚香は顔色も良くなり朝食も少しだけ食べれた。
「それじゃあ、俺は仕事に行くけど。何かあれば、いつでも電話してくれて構わないから」
「はい…判りました…」
「定時で帰って来るから」
「ご無理なさらないで下さい…。ゆっくり休まれないと、お仕事に差し支えますから」
「このくらい、大丈夫だ。俺に、気を遣う事はない。俺達…夫婦なんだから…」
夫婦なんだから…。
そう言った聖に嘘はなかった。
ただ、まだ素直じゃないのか照れているのか、目がちょっとだけ泳いでいた。
柚香は素直に喜びを感じた。
そのまま聖は一旦家に戻って、シャワーを浴びて身支度を整えて出勤する事にした。
聖が家に戻ってくると、食卓の上に朝食が用意されていた。
昨日は、バタバタと出かけたけど綺麗にかたずけられていた。
「おはようございます」
声がして振り向くと、そこには辞めさせてはずのお手伝いがいた。
60代後半になるだろうと思われる、長い髪を後ろで束ねておっとりとした顔をしているふっくらとした女性で、物腰が低い。
「恵子さん…。まさか、戻って来たの? 」
「はい、旦那様から戻って来てほしいと連絡があったものですから」
旦那様…父さんが?
この恵子と言うお手伝いは、長年宗田家に仕えているベテランお手伝い。
聖龍が高校生の時からお手伝いとして住み込みで働いていて、途中結婚して休業していた子育てが一段落して復帰して、また住み込みで働くようになったのだった。
突然、聖が辞めてもらうと言った時は正直言って困っていたようだ。
暫く他の住み込みの仕事をしていたが、聖龍に呼び戻され戻っていたようだ。