結婚は復讐の為だった…いつのまにか? …
「帰ったら…家事は一切やらなくていい」
「え? 」
驚く柚香に、ちょっと照れたように笑いを浮かべた聖。
「父さんが、お手伝いを呼び戻したから」
「そうでしたか…。では、私も外に働きに行きます」
「なんで? 」
「お手伝いさんがいらっしゃるのです。家事はやらなくていいので、何もする事がありません。なので、私も働いた方がいいと思うのです」
「それなら、俺の秘書として働いてもらえるか? 」
「それは…お断り致します」
「何故だ? 」
「家でも、仕事でもずっと一緒と言うのは良くありません。仕事は、お互い別々の場所でと思います」
何となく納得できない聖だが、無理に秘書になってほしいと頼むほどでもないと思った。
「それでもいいだろう。ただ、俺が帰るまでには家にいて欲しい。そして、休みは一緒の日にいてほしい」
「はい、それは承知しております」
「それから…退院してからなのだが。寝室は、一緒になるから」
え? …
ちょっと驚いた目を浮かべた柚香。
「父さんがいる手前、別々にはできないんだ」
「それは、何故でしょうか? 」
「いや…俺達は夫婦だ。夫婦が別々ん部屋で寝るなんて、変じゃないか」
「そうですね。それでは、シングルベットを2つ置く事でいいのではありませんか? 」
「まぁ、そうだけど…」
同じ部屋なら一緒に寝起きしている事になるから、それでもいいか。
「とりあえず、これからは同じ部屋で過ごしてもらうから」
「承知しました」
こんなところか。
同じ部屋で寝るって考えてなかったけど…。
まぁ、大丈夫だろう。
その後は他愛ない話をしながら、聖と柚香は過ごしていた。
病室の外で盗む疑義していた理子…。
「どうやら結婚しているのは本当の様ね。声からしても大した女じゃなさそう。まぁ、いいわ。すぐに別れさせてあげるから」
怪しい笑みを浮かべて、理子はそのまま去って行った。