結婚は復讐の為だった…いつのまにか? …

 鞄を置いて封筒の差出人を見た聖だが、どこかの探偵事務所の名前が書かれていた。

 探偵を頼んだ覚えはないが…。
 そう思いながら封筒を開いた聖。

 封筒の中には数枚の写真が入っていた。

「なに…これ…」

 写真を見た聖は驚いた顔を浮かべたが、段々を怒りの表情へと変わって行った。

 写真は柚香が下着姿で若い20代くらいの金髪の男と抱き合っている姿や、ベッドの上で裸で男を絡んでいる姿が写っていた。
 そして柚香が男にご奉仕している姿も写されていた。

 写真を見ていた聖は怒りの形相で柚香の部屋に向かった。


 
 バン!
 ノックもされず勢いよくドアが開いて、柚香は驚いて振り向いた。

「おい! これはどうゆ事だ! 」

 怒りの形相の聖は、柚香に写真を叩きつけた。

 驚いた目をした柚香は叩きつけられた写真を見て、唖然となった。

「お前、浮気していたのか? そんな若い男と! 」
「していません。こんな人、存じ上げません」
「嘘つけ! これは間違いなく、お前じゃないか! 」

 怒鳴りぶつけて来た聖を、柚香は冷静な目でじっと見つめた。

「お前…もしかして、入院中にこんな事していたのか? それとも、結婚してからすぐにか? 」

 今にも殴りだしそうな聖を、柚香は何も言わずにじっと見つめている…。

「何とか言えよ! 」

 再び怒鳴りつけた聖に、フイッと、視線を反らしてそっとため息をついた柚香。

「…その写真が私だと言いきれるのですね? 」
「お前じゃないか! 他の人とでも言いたいのか? 」
「いえ…。貴方は、私の身体を見た事もないのに言い切れるものだと。ちょっと、驚いているだけです」
「なに? 」

 反らしていた視線をゆっくりと聖に向けた柚香。
 いつもの伏し目がちではなく、真っ直ぐに見つめてきた柚香。
 そんな柚香に聖はちょっと怯んだ。

「その写真を見て、何も思いませんか? 」
「はぁ? 」
「分からないなら…私が今ここで、証明すれば宜しいのでしょうか? 」
「どうゆうことだ? 」
「その写真が私ではないと、証明できれば信じてもらえるのでしょうか? 」
「何をどう証明すると言うんだ! 」
「ご覧になれば、分かる事です。その写真が、私ではないと」

 一体なにを言い出しているのか聖は理解できなかった。
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