結婚は復讐の為だった…いつのまにか? …
だが…。
柚香は分からない顔をしている聖をよそに、パサッと服を脱ぎ始めた。
ボタンを外してゆく柚香…。
はだけてくる柚香の姿が目に入ると、聖はドキッと心臓が高鳴ったのを感じた。
スルっとブラウスを脱いだ柚香の姿が目に入り、驚いた聖はサッと背を向けてしまった。
「ちゃんと、見て頂けませんか? その写真は偽物です」
服を脱いで下着姿になった柚香は、聖の背中を真っ直ぐに見つめてそう言った。
「な・なんで…」
さっきまで怒りが込みあがっていた聖が、すっかり動揺している。
ドキドキと心臓が高鳴り、まるで初めて何かを見るようなワクワク感と、何故か悪い事をしてしまった罪悪感が重なっている。
「論より証拠です。目の前の私を見て頂ければ、ハッキリと分かる事です」
下着姿で恥ずかしいはずの柚香だが、そんな素振りは全くなく。
ただ真っ直ぐな眼差しで聖を見ている。
それはそうだが…。
そう言えば、俺は柚香の身体を見たことがない。
病院で着替える時も後ろを向いていたから。
結婚してすぐに、お手伝いを辞めさせ柚香はお手伝いの部屋で寝起きしていて…初夜なんて考えもしなくて…。
初夜の日に当たる日は、俺は別の部屋で寝ていたから…。
それなのに、どうして俺はこの写真が柚香と言い切れるのだろうか?
顔は柚香だが…。
チラッと、顔だけ振り向いた聖だが、それだけでは柚香の体はハッキリ見えなかった。
「見て頂けませんか? 」
少し潤んだ目で聖の背中を見つめている柚香…。
背中越しに、なんだか柚香が泣いているような感じを受けた聖。
どうしたらいいんだよ!
こんな形で…初めてなのに…。
でも、このままじゃ…。
恐る恐る、聖は振り向いて柚香を見た…。