結婚は復讐の為だった…いつのまにか? …
「したくありませんか? 私に…キスを…」
したくない? そうは思わない…。
この唇、見ているだけで吸い込まれそうだし。
「…して、いいのか? 」
尋ねられると、柚香はそっと聖の頬に手を添えた。
「貴方はどう感じているのですか? 」
「え? 」
「頭じゃなく、貴方が感じているままに逆らわない事だと思います」
感じるままに…。
そう言われて、聖はそっと柚香のメガネを外した。
メガネを外されると、柚香はスッと視線をとした。
綺麗だ…。
聖は素直にそう思った。
メガネをかけていると分からなかったが、柚香は綺麗な顔立ちをしている。
キリッとした目鼻立ちは男性よりに見えるが、魅力的な切れ長の目は凛とした女性で、どこかで見覚えがあるような気がした。
シャープな輪郭にプルっと魅力的な唇…。
こうして見ると、柚香に初めて出会った気がしないのは何故なのだろうか? と、聖は不思議な感覚を感じていた。
「…お前、メガネ外すとすげぇ綺麗な顔しているんだな。…今まで、気づかなくてごめん…」
「謝られる事はないと…」
外した眼鏡を机の上に置いた聖は、ギュッと柚香を抱きしめると、そのまま唇にキスをした。
重なった唇からは、なんだか不器用な聖を感じた柚香。
イケメンだから、女性がほっとかない筈なのに、なんだか今までキスもした事がないのかぎこちなくて微かに震えている。
でも、とても丁寧に吸い上げてくれて、スルっと口の中に入ってくるのも気遣ってくれているようだ。
見かけよりも、とっても柔らかい柚香の唇は、重なっただけでもとろけてしまいそうなくらい心地よくて、もっと…もっと欲しくなる。
口の中で絡まり合う感覚が何とも言えなくて、2人の求めあう音が部屋に響いていた。
そのままソファーに柚香を押し倒した聖。
ネクタイを外して、シャツのボタンを外すと、そっと柚香に覆いかぶさった聖。
柚香はそっと目を伏せていた。
「…俺に、抱かれても後悔しないか? 」
そう尋ねられると、柚香は「何故? 」と困ったような目をして聖を見つめた。
聖は柚香の答えを待つかのように、じっと見つめていた。
「…私…。貴方と結婚を決めた時から、全てを捧げるつもりでいます。…」
「今まで、ほっといた事。怒っていない? 」
「怒っていません…」
そう答えた柚香だが、なんだかちょっと怒っているような目をしていた。
「…怒っているって顔しているけど? 」
「そんな事…ありません…」