結婚は復讐の為だった…いつのまにか? …
遅めの夕食を済ませた聖と柚香はお風呂を済ませて、寝る事にした。
時刻はもう23時を過ぎていた。
お風呂の後に、ちょっと柚香の部屋で話し込んでいた聖。
あの写真の探偵事務所には直接行って確かめてくると言っていた。
「あのさ、俺の部屋で一緒に寝ないか? 」
「え? 」
「あ、いや…。別々の部屋で寝るのは、ちょっと寂しいって思ったんだ。まだ、ベッドが届いていないから別々の部屋になってしまったんだけど…」
「お疲れじゃないのですか? ゆっくり休まれたほうが、良いと思います」
「ゆっくり寝るなら、お前がいないと…」
目と目が合うと柚香はクスッと笑った
「な、なんで笑うんだよ」
「ごめんなさい。素直に答えてくれて、可愛いと思ってしまいました」
可愛い? マジだめ!
ひょいと、柚香を抱きあげた聖。
「可愛いって別に嫌いじゃないけど、その言葉は女に使う言葉だろう? 」
「え? 」
そのまま柚香を抱きかかえたまま、聖は自分の部屋へと連れて行った。
柚香を抱きかかえたまま寝室へ来た聖は、そのままベッドへ寝かせた。
シンプルな白いベットカバーにお揃いの枕カバー。
ふんわりと何かお香のような匂いがして心地よく感じた。
そっと隣に入って来た聖は、ギュッと柚香を抱きしめた。
「おやすみ…」
チュッとかるく唇にキスをして、電気を消した聖は柚香を抱きしめたまま眠りに着いた。
逞しい性の腕の中は安心できて、柚香もそのまま眠りに着いた…。
深夜を回る時刻。
まだ聖龍は起きていた。
亡くなった愛香里の写真を見て、そっと微笑みながら窓から夜空を見ている聖龍。
「愛香里…よかったね、娘が帰って来てくれたよ…。今は、義理の娘だけどね…」
夜空を見ながら聖龍は今からもう30年以上も昔を思い出していた。
それはまだ、聖と柚香が産まれたばかりの時だった。
「お願いします…。どんな条件でも飲みますので…」
まだ若かれし頃の聖龍が頭を下げている相手は、賢太郎と挿花だった。
挿花と賢太郎の腕には可愛い生まれたばかりの赤ちゃんが、抱っこされている。