結婚は復讐の為だった…いつのまにか? …
復讐7

「…確かに、我が家は女の子を望んでいたが。…」
 賢太郎は困った顔をして挿花を見ていた。
 挿花も困った顔をして賢太郎を見ていた。
「妻は心臓移植をしている関係で、もう子供を産む事ができません。なので…」
「うちの挿花も、この子が最後の子だと医師から言われているのです。あまり、丈夫ではないので」
「そこを何とかお願いできませんか? 」

 実は、挿花は愛香里と高校時代からの親友だった。
 挿花は検事への道を選び、愛香里は刑事へと別々の道へ進んだ2人だったがずっと親しくしていて、結婚式にも呼び合う仲だった。

 愛香里が聖龍と結婚して子供が生まれた頃、挿花は2人目を出産した。
 偶然にも同じ日に産まれた愛香里と挿花の子供。
 男の子を望んでいた愛香里の元には、双子だったが女の子の双子が生まれた。
 そして女の子を望んでいた挿花には、男の子が生まれた。

 愛香里は心臓移植をしている事から、出産は今回が最後だと言われていた。
 挿花も丈夫ではない為、これ以上の出産は無理だと言われていた。

 そんな2人が出会ってしまい、聖龍は賢太郎と挿花にもう一人男の子がいるのを見て、事情を話してお互いの子供を交換する形で養子・養女にしようとお願いしたのだ。

 お腹を痛めて産んだ子供を、そんな理由で交換するなんてありえないと考えるのが当然だが。
 挿花は愛香里が産んだ女の子を見て、とても愛しさを感じていた。
 そして愛香里も挿花が産んだ男の子を見て、何か運命的な愛しさを感じた。

 ありえない事だが、お互い子供へ愛しさを感じている事から交換という言葉で表してしまってはとても軽く聞こえてしまうが、愛香里が産んだ双子の女の子一人と、挿花が産んだ男の子を交換した。

 まだ産まれたばかりで名前も決めておらず、出生届を提出する前の事で手続きに時間がかかってしまったが無事に愛香里の子供は賢太郎と挿花の元へ、挿花が産んだ子供は聖龍と愛香里の元へ行くことが決まった。

 会いたいときはいつでも会っても構わないと言っていたが、会ってしまうと恋しくなってしまうのではないかと思われ、お互いに意図的に合わないようにしていた。

 挿花の産んだ男の子には聖と名づけられ、愛香里が産んだ女の子には柚香と名づけられた。

 どこかで会ってしまってはいけないと考慮して、柚香は幼稚園から名門私立へ通わせていた。
 だが、偶然にも公園で遊んでいた柚香と出会ってしまった愛香里がいた。
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