結婚は復讐の為だった…いつのまにか? …
「あれからもう30年以上…。そして、愛香里がこの世からいなくなって20年以上…。戻って来てくれた柚香を、必ず幸せにするから…」
机に歩み寄った聖龍は一枚の写真を手に取った。
それは聖宛てに送られてきた探偵事務所からの写真の一枚。
柚香が若い金髪の男と淫らな行為をしている写真。
「…こんな事を仕掛けてくるなんて…。でも、これが良いきっかけになっているようだね…」
写真を見て聖龍は余裕の笑みを浮かべていた。
翌日。
聖はいつも通り出勤して行った。
柚香は新しい仕事を友達から紹介してもらうと言って、出掛けて行った。
いつも通り聖が出勤してくると理子が待ち構えていた。
「おはようございます、副社長」
寒い冬だと言うのに、派手なパープルのミニスカートに生足を出して赤いハイヒールを履いて、胸の大きく開いた黒地に赤いバラ模様のブラウス姿で現れた理子に、聖は嫌悪感しか感じなかった。
「副社長。奥様って、もしかしてすっごく地味で暗い人じゃありません? 」
話しかけてくる理子を無視して聖は歩いて行った。
「他の社員い聞いたんです。かつて、奥様がここで働いていたって。それで、地味で暗くてハッキリ言ってブスな人なのに、なんで副社長が結婚したのか不思議だって」
エレベーター前で立ち止まった聖。
その隣にやって来た理子は、ギュッと腕にしがみついた。
気持ち悪い!
そう思った聖は理子を振り払った。
「副社長。もしかして、今日はイライラしているのですか? なんかありました? 」
エレベーターが到着して聖が乗り込むと理子も乗り込んできた。
他の社員も乗って来たが、理子は聖の隣にピッタリとくっついている。
エレベーターのドアが閉まる瞬間。
サッと聖は飛び降りた。
「あ…」
一瞬のスキをついて降りてしまった聖に取り残された理子は呆然としていた。
フッと一息ついた聖。