結婚は復讐の為だった…いつのまにか? …
復讐8
「そんなに驚かないで、おかげで真相に辿り着けそうなの。それだけの目的で、彼とは結婚しただけ」
「でも…」
「心配しないで。気づかれいないから…目的が終われば、彼とは別れるから」
「だけど…。本当に、それでいいのか? 」
「ええ。彼だってきっと、私に復讐したくて結婚しただけだから」
「俺はよく分からないが。彼の噂はよく聞いているよ、言い寄ってくる女性がいても誰とも交際しないって言ってた」
「復讐しか考えていないからじゃない? 」
「そうかもしれないが…」
フッと一息ついた柚香。
「今日はね、お兄ちゃんに頼みがあってきたの」
「頼み? 」
「お兄ちゃんの事務所で、雇ってもらえない? 」
「俺の事務所で? 」
「うん。だって、あの広いお屋敷でずっといるのは暇だから」
「まぁ、いいけど。お前くらいの力があれば、一人でも事務所もてるんじゃないか? 」
「あんまり目立つことはしたくないから。所属だけさせてもらえたら、それでいいわ。後は、国選弁護人でも引き受けるから」
「あ、ああ…」
聖一郎はちょっと不安だった。
とりあえず秋田法律事務所で働く事になった柚香。
話を終えた聖一郎は、久しぶりだからランチでも一緒に食べようと柚香を誘った。
ランチ時のオフィス街の外は、急ぎ足でレストラン街へ向かう人が行き来している。
聖一郎と柚香は、シティーホテルの1回のレストランでランチを食べる事にした。
奥側の窓際で、聖一郎と柚香がランチを食べていると。
入口から聖が女性と一緒に入ってくる姿が見えて、柚香はサッと顔を伏せた。
「ん? どうした? 」
「ゴメン…あの人が…」
ん? と、聖一郎は振り向いた。
聖は2人に気づかないまま、女生と離れた席に座った。
「あれ? あの人って…柚香の結婚相手だよね? 宗田ホールディングの副社長」
「そう、あの人」
「へぇ…」
聖一郎は遠目で聖をじっと見つめた…。
「…母さんと、そっくりじゃん…」
そう呟いた聖一郎は、ちょっと懐かしそうな目をしていた。
お互いに気づかないまま、同じレストランでランチしているとは不思議だ。
そのままお昼は過ぎて行った。